開かずの扉

私の祖父母の生まれは北海道の妹背牛という町。私はこの街のことが好きだったけれど、「妹背牛」という名前は嫌いだった。何となく禍々しくて、あまり縁起がいい名前ではない気がする。家族で帰省した時には、何もやる事がない事が楽しみだった。交差点に当…

僕らはきっと、

緑のカーディガンの女の子が目の前に座っている。カメラを取る姿勢が面白く、その姿を携帯で撮ってしまう。知らない喫茶店はケーキが美味しく、彼女が本当に似つかわしい場所だった。喫茶店の似合うカップルがお会計をしていて、僕達は「いいね」と話し合っ…

眠れない夜

シーラカンスが1番古い魚なのは本当なのだろうかと考える2:18。シーラカンスが現れると私は不安になってしまう。永遠は恐怖のように漂う。黒いまなこが捉えるのは、真っ暗な部屋に浮いているスマートフォンのディスプレイだけ。この街から引っ越すのは、あと…

ごめんよ、牛乳

一喜一憂する就職活動に嫌気がさし、私は快楽を求めに行く。恋人の横顔は、めくるめく季節の様に美しかったり、可愛らしかったり、涙を誘ったりする。そんな四季を求めて毎回終電を乗りこなす。終電を逃し、恋路の途中で下車して走って恋人の所に行ったのは…